堀川建築設計室

CHIEKO HORIKAWA

岡田新一講演会
2008年4月26日

岡山県立美術館20周年記念岡田新一展にともなう講演会を拝聴してきました


岡山県立美術館


 後楽園から出石町の古い町並みを通って、大通りを岡山県立美術館に向かいました。基壇部の御影石が圧巻。エントランスの層を重ねたような御影石の階段、岡山産の万成石らしい。この石の塊は全部中身まで石なのでは?と思わせるように贅沢な使い方です。上層部の外壁はラスタータイル、窓周りのアルミパネル、形状も遊びが感じられる・・・懐かしいこの感じは・・・県立美術館20周年記念ということでハタと気がつきました。20年前といえば、バブル全盛期、そしてこの組み合わせは多かれ少なかれその当時のスタイルと呼んでもいいのかも・・・一時代を通り過ぎてきたんだという驚きを、この外周部を歩くだけなのに感じてしまいます・・・。筑後20年たっても全く新しい姿です。
 1階エントランスロビーは御影石、2階ホワイエは白大理石。こんなに模様がそろって白い大理石はなかなか手に入らないのでは・・・岡山県立美術館でのテーマはラビリンスなのだそうです。バブルとポストモダンの匂いがします。


岡山産御影石床外壁

ラビリンス:外壁は御影石とラスタータイル


 岡田先生は御歳80。20代にエール大学へ留学したことが、その後の作品に大きく影響したという言葉が印象的です。エール大学は街区の通りに面して建物が建ち、街区の中心に広場を抱く配置となっていて、その広場を介する建築配置ということに感銘を受けたということである。
 その顕著な例が宮崎県立美術館であり、芸術選奨に選ばれています。そして、現在もオリエント美術館と県立美術館を繋ぐ広場の計画を提案しているそうです。エール大学の体験から今日に至る広場の考え方が踏襲されているということが感じられます。そのほか、代表作最高裁判所、オリエント美術館、実現しなかったコンペ案等々展示内容に則したした講演内容だったと思います。講演の中で、奥様のヒロコさんの名前がたびたび出てきていたのも印象的でした。メディアではあまり語られていませんでしたが、外壁デザインや取っ手、タイルデザイン等々奥様との共同設計であるということ。今回の展示ではそれがわかりやすく展示されています。この世代の方の夫婦共同制作のかたちなのだと、納得してしまいました。


エントランスロビー

2階ホール前ホワイエ、大変きれいなビアンコカラーラ

明るくリッチなホワイエ


オリジナル照明

 
 
県立美術館から程近い位置に、オリエント美術館があります。最近BCS賞を受賞したのを雑誌で見たことがあります。竣工後25年以上建っているはずが、こちらもきれいです。残念ながら5時を過ぎていて、今回は外部からちらりと写真を撮影しただけです。外部はタイル貼り、独立壁風の壁の小口とタイルのボリュームの間に、白い大理石をはさんだスリット窓が印象的です。 この表現も歳月を感じさせる、そして興味深いディテールです。エントランスホールを外から覗くと、ビシャンたたきのRC壁が薄暗い中に見えています。ああ、この壁も懐かしい・・・初めてみる壁なのですが、その時代の空気が感じられて・・・また次の機会に見てみたい思いを強くしました。


オリエンタル美術館外観

オリエンタル美術館エントランス廻り
 岡田先生の作品を見学するのははじめてなのですが、懐かしい思いがするのは、建築に関わり始めて最高裁判所をはじめ雑誌掲載された作品の数々の印象が残っているからなのでしょう。最近、過去の自分と繋がる思いがすることがたびたびあり、それを楽しく思うことがあります。
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